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不動産を所有する8つの責任 第1話【全7回】

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不動産を所有する人はそれなりに責任があります。例えば所有している不動産を管理する責任があります。管理を怠れば、他人に迷惑をかけてしまうからです。また、固定資産税等の税金を納める責任があります。これは所有者が未成年だろうが、女性だろうが関係なく、すべての所有者にかかる責任です。


これら以外にも不動産を所有する人には、次のような責任があります。
①使う
②活かす
③再生する
④向上させる
⑤節約する
⑥つなぐ
⑦後始末(前始末)
⑧守る


責任その① 「使う」


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日本は国土の内、使える土地、使えない土地、使わない土地とに大きく分かれます。空き地や空き家、農地においては耕作放棄地、さらには山林の未管理地等があります。これらの土地には、それぞれ法律や、様々な複雑なしがらみで使えない土地になっている不動産もたくさんあります。


この中で使わない土地について注目してみます。本来、日本の国土においては、不動産取引や建設等の経済活動によって、雇用、消費等、そして納税が行われています。一方で、不動産の保全活動により、環境保全や、災害を抑制する効果によって、安全を維持してきているといっても過言ではないと思います。所有者がこれらを実現できず、意識をしないことで、経済活動の停滞や、保全活動の停滞で災害等が起き、それぞれ他人に迷惑をかけているというのも大きな観点から見ると、そのように考えられます。


一方、不動産は所有しているが、その不動産を使えない人、不動産は所有していないが、もし不動産を持っていれば使える人がいます。この人たちをマッチングできれば、その不動産を使うことができます。もちろん、不動産を所有している人、所有していないが利用したい人にメリットがなければ成立しないわけです。


具体的に記すと、空き地や放棄地、空き家にしている場合、草は伸び放題、虫は発生する、空き家に至っては、ホームレスに住まわれたり、犯罪にも使われる可能性があります。近隣には大変不気味な存在になってしまうのです。


所有者たちは、ちゃんと税金を納めているから、人から後ろ指をさされることはないと思ってはいますが、近隣に迷惑をかけていることに気が付いていないわけです。また農地においても耕作放棄地が目立つようになっています。山林においては、間伐等の管理をしないことで、土砂崩れ等の甚大な被害によって、様々な関係者に迷惑をかけています。


このように考えると、所有者は空き地や空き家、放棄地にしていることで、経済活動や安全施策の妨げになっているといえるでしょう。この点を自覚することは大切です。不動産を所有する人の責任として、その不動産を何らかの形で使う責任があります。もちろん、その不動産を適切に管理する責任もあります。


こんなとき、自分は不動産を所有してはいないが、いろいろな事業ノウハウ、資金調達ノウハウがある人に使ってもらえば先に述べた問題は大きく解消されます。このように、所有しているが使えない、所有していないが使える人をマッチングすることで、様々な問題点の解決や、経済発展、土地保全による災害防止策に貢献することができるのではないかと考えています。


話は変わりますが、毎年、不動産(土地)の公示価格が発表されます。㎡あたり○○万円とか、高いところでは大変な資産価値になります。しかし、この不動産の公示価格は売却した時にこれぐらいで取引になるだろう、と評価したものです。だからこれ以上で取り引きされても、これ以下で取引されても、基準とされる価格です。


ここで不思議なことに、土地の価格には数種類あります。固定資産税を算出するために決められた評価額、相続税や贈与税を算出するために決められた路線価、そして公示価格です。(どうしてこのようにいくつもの評価基準があるのか疑問ですが‥)


公示価格、路線価、評価額等は、その不動産を売却した時にその価格が反映されます。売却しないで持ち続けている人にとってはどうでもいいことですが、それによって課税されるのにはいささか不満があるでしょうが、これは仕方がないことです。その価値ある土地を利用してその価値に見合うような収益を上げるのは、ごく当たり前のことです。このように、土地という不動産は売却とか活用という、つまり「使う」ということで初めて価値が生まれてくるものなのかと考えます。


また、このようなことがあります。資金を調達するために、別件担保として、その不動産を提供するという場面がよくあります。このような土地の使い方は、あまり納得できない感じがします。それは、将来、その別件担保として提供した土地上に収益物件を造ろうとしたとき、先に担保を取っている相手から承諾をもらわなければなりませんが、なかなか承諾が取れない、さらには、収益物件を作る資金をなかなか調達できないのが現実だからです。また、貸家やアパート等を運営していて、入居率や家賃下落、ローン金利の上昇等によって経営が厳しくなるということも考えられます。そのようなことが起きたとき、他の不動産を売却して一部弁済して経営を立て直そうと考えますが、売却しようとする不動産が担保として抑えられていることで、うまくいかないことがあります。


不動産は使われて初めて価値が生まれてくるものを、担保というものによって使うことのできない不動産になってしまいました。要するに使えない不動産になっているということです。


不動産は有効的に使うことによって、様々なメリットが生まれてきます。それは自分自身の利益であったり、社会に対しての利益でもあります。そしてそれは同時に還元するという仕組みであることを認識する必要があります。


これは、不動産を所有する人の責任です。もし、責任を負いたくなければ、不動産を持たないようにすることです。


【次の記事】不動産を所有する8つの責任 第2話≫


Copyright © 齊藤 正志
※この記事は弊社代表・齊藤 正志の著書『不動産を「加工」する技術』(現代書林)より抜粋、再編集したものです。
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